【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】トンボ鉛筆とは?
皆さんは、文房具の老舗メーカーである『株式会社 トンボ鉛筆』はご存知でしょうか?
文房具を使っている方にとって、トンボのマークの入った文具はお馴染みでしょう。多くの人の生活に馴染み深いトンボ鉛筆、特に最近は「MONO」の消しゴムが文具市場でもトップクラスの人気を誇ります。
1912年に設立をし、今まで日本の文化背景と共に成長をしてきた株式会社トンボ鉛筆。そんな老舗であり、国内トップ文具メーカーであるトンボ鉛筆が、かつて大きな炎上を起こしたことがあります。
ここでは、そんなトンボ鉛筆が起こした炎上事件の詳細についてまとめてみました!
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】東日本大震災時に起こった炎上事件
日本のトップ文具メーカーである、株式会社トンボ鉛筆。
そのトンボ鉛筆が起こした炎上事件は、2011年に遡ります。
皆さんもご存知の東日本大震災。マグニチュードは、9.0を超え宮城県栗原市では震度7を観測。地震後は、大津波も日本を襲い、死亡者数は1万5千人を超えました。今でも行方不明者は、数千人いると言われています。
この大震災では福島の原発事故も発生し、日本中を恐怖と混乱、そして悲しみに包み込みました。そんな日本中が大混乱の中、トンボ鉛筆の人事担当が理解に苦しむメールを就活者に送信していました。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】発端となった担当・佐藤のメール
3月と言えば、企業の会社説明会が行われることが多く、就活を本格的に開始する時期です。株式会社トンボ鉛筆(本社・東京)も例外ではなく、人事担当者が来期の採用に向けての業務を開始していました。
トンボ鉛筆は、2011年3月1日から会社説明会の予約を開始。ネット予約で行われていましたが、予約が殺到し、予約が取れていない就活者もいたようです。
そんなトンボ鉛筆・人事担当者の佐藤は、東日本大震災の直後、このようなメールを3月13日に予約成功者に送っています。まずはこちらをお読みください。
こんにちは、トンボ鉛筆の佐藤です。改めて地震の方は大丈夫でしたか? このメールを配信した中には、被災されている方が多数いると思います。 直接的な力にはなれないですが、 私自身、都内から自宅のある埼玉まで徒歩で8時間かけて 帰宅して、実際の東北の方に比べる程のものではないですが被災の怖さを感じました。 さて、先日は咄嗟のメールだったので、返信しなくても大丈夫ですからね。 会社は大丈夫です。揺れは大きかったですが、今のところ大きな事故・怪我の連絡は入っていないです。 本当は週明けに全員に送ろうと思っていたメールです。 こんなことくらいしか出来ませんが、履歴書とESをお送りします。 ただ、非常に厳しい条件をつけさせていただきます。 その条件とは1点だけです。 書類選考を希望される方は、添付の専用履歴書とエントリーシートをご確認いただき、 3月15日(火)消印有効でその2枚をセットにし、下記までご郵送ください。 直前に説明会へ予約が出来た場合は、ひとまず書類持参でお越しください。 会場で通り一遍等の説明・指示はします。 その指示が難しい場合は・・・その先は言う必要ないですよね。 自分で考えてみてください。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】高圧的な内容で混乱を招く
担当の佐藤が就活者に送ったメール内容は、非常に高圧的な内容であり、震災の被害にあった方々への配慮に欠けたものでした。まずはこのメール内容の問題点を見ていきましょう。
大震災直後のメール
佐藤は、大震災の当日にも下記のような緊急性のないメールを就活者に送っていました。
地震大丈夫ですか?怪我とかないですか?
2011年3月11日は、東日本大震災が起こった当日です。配慮のあるメールが送られること自体は問題ないかもしれません。
しかし、そもそもこのような緊急性のないメールを大震災当日に配信する必要はあったのでしょうか?
大震災が起こった直後は、日本中の様々な地域で混乱が起こりました。中には家族、自身が被災にあい、就活どころではなくなってしまった人もいたでしょう。
また、当時は電話やネットなどに通信制限がかかっており、被災地での安否確認や救急要請などという非常に重大な連絡もままならなかった状況です。そんな時に、回線の混雑なども考えずにこのようなメールを一斉送信したのは、あまりにも非常識ではないでしょうか?
相手を思いやらない厳しい条件
大震災から2日後の3月13日に、佐藤は2回目のメールを送信しています。それが上記でご紹介したメールです。就活者に厳しい条件を付けていると記載がありました。
書類選考を希望の場合、3月15日までの消印有効で専用履歴書とエントリーシートを送らなければいけないということ。
そもそも交通機関もマヒしている中、郵便で書類を送ることは不可能ではないでしょうか?しかも、締め切りの消印は3月15日でたったの2日しかありません。被災地にいる方にとって、これはあまりにも考慮がありません。
さらに高圧的な一文
また、佐藤はこのメールで、追い打ちをかけるかのように『会場で通り一遍等の説明・指示はします。 その指示が難しい場合は…その先は言う必要ないですよね。 自分で考えてみてください。』という文面を加えています。
つまり、15日までの消印を持って書類を送付できなかった者に対し、説明会にも来られないし、選考には進めないことを言っているのです。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】世間では大炎上
佐藤のこの高圧的かつ配慮の欠けるメールは、瞬く間にネット上に拡散されます。
SNSでは、「立場の弱い就活生に対するパワハラ」、「震災被害者への侮辱」とも言われて大炎上。
佐藤自身も、震災直後は交通機関がマヒをし、8時間もかけて徒歩で帰宅をした被害も受けていいます。それにも関わらず、被災をした就活者に対して全くと言っていいほど配慮に欠ける内容のメールを高圧的に送っています。世間からバッシングを受けるのも当然でしょう。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】佐藤の独断で送信?
さらに、被災をして就活に不安を抱えた就活者が佐藤に問い合わせのメールをしています。
『正直ちょっと残念です。 説明会に参加しないと選考に進めないと私が言いましたか? メールにはどんなことを書いていましたか? 私は男女差別はしませんが、男女の区別はします。 男として、こんなことでテンション下げてはダメですよ! 』
佐藤はこう返信をしたそうです。そもそも、不安になって問い合わせをしただけなのに、『男女区別』って何でしょうか?震災の被害にあっているのに、一体なぜこのような不可思議な内容の一文が入るのか、理解に苦しみます。
日本のトップ文具メーカーであるトンボ鉛筆がこんなメールを送るとは、あまりにもがっかりです。しかしこのメールはどうやら佐藤の独断で送信をしていたようなんです。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】その後のトンボ鉛筆の神対応
この大炎上事件について、トンボ鉛筆は非常に冷静で相手への配慮を加えた対応をしていました。
トンボ鉛筆総務部ゼネラルマネージャーの長尾弘司氏は、いち早くこの騒ぎに対応し、HPに謝罪文を掲載。
平成23年3月13日付で、弊社人事グループ担当社員より発信しました弊社採用活動に関する文書の中に、不適切かつ配慮に欠く表現が多々ありましたことを深くお詫び申し上げます。
先ず、東日本大震災発生の2日後に、罹災した地域への配慮を欠いたかたちで書類選考用紙等をメールし、締切を15日消印有効としたことは言語道断であります。また、随所に平等を欠く表現もありました。さらに、弊社担当者の立場上の驕り昂ぶりが現れた言葉遣いが随所にあり、重ね重ねお詫び申し上げます。
このように、佐藤の書いたメールの不振点を次々に挙げ、謝罪をしました。
さらに、佐藤に対する厳しい指導及び、今後社員に対する徹底した事前社内校閲ルールを設け、再発を防止するように努めるという旨も掲載。
これに対し、ネットユーザーたちは長尾氏の神対応に感動し、騒動は沈静化したのでした。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】佐藤のその後は?
この事件の発端となった佐藤は、その後どうなったのでしょうか?
トンボ鉛筆の佐藤に対する処分などは明らかになっていません。噂では、会社をクビになったという話もあります。
しかし、今回のトンボ鉛筆の謝罪文の中には『当該担当者を厳しく指導しました。』とあり、『処分』をしたという内容はありませんでした。そのため、クビにはなっておらず、現在も社内に残っているという見解が強そうです。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】不祥事の際は会社の対応がカギ
最近、巷では会社の不祥事などが目立ちます。今回のトンボ鉛筆事件もその1つでしょう。
もちろん、そのような不祥事を起こさないことが1番です。しかし、そういった不祥事が起こった際は、素早く会社が誠意を持って対応をすることが鎮静化の鍵となるでしょう。
今回のトンボ鉛筆も、ゼネラルマネージャー・長尾氏の神対応でうまく鎮静化できました。
【トンボ鉛筆事件・佐藤の現在】まとめ
2011年に起きた『トンボ鉛筆事件』についてご紹介しました。
日本中が混乱をしていた震災直後に担当・佐藤が送ったメールはあまりにも配慮に欠けるものでした。ネットが普及した中、こういった高圧的な内容のメールは、炎上を起こす原因となります。今後は、少しでも就活者が就活をしやすい環境が整うことを願っています!